

栃木県那須町は全国でも有数の観光地として知られるリゾート地。那須ICにつながる那須街道周辺を中心に、数々のレストランや別荘エリアが広がっています。しかし本来その産業の中心は豊かな大自然を背景とする酪農そして農林業。その広大なエリアの多くを、日本の原風景とも言える農村の風景が広がります。
しかし近年、そんな酪農や農林業が危機に瀕しています。産業構造としての農業経営の難しさから来る廃業・離農。そのために荒れてしまった農地や森林。そんな状況に新たなモデルを提案し、これまでの構造に新たな関係性を作り出したいと考えてトライするまったく新しい酪農・農業・林業の実現を目指します。
その一つの方法が「森林酪農」。人の手が入らないために荒れてしまった山林に牛を放牧。牛がその下草を食べることで人が入りやすい森へと自然に無理なく緩やかに環境を変え、かつ新しい種の落ちた大地を牛の蹄が耕し新しい芽を芽吹かせる。こうして、これまで打ち捨てられた山林が、木材やシイタケのホダ木など、豊かな森林資源を生み出す山へと再生します。
さらにそこで育つ牛は、自由に山の中を歩き回り自然の草木を食べて育った健康な牛。そんな牛たちが分けて与えてくれるのがまさに自然の牛乳。まったく雑味のない牛乳本来の風味と栄養価のありがたみをいただきます。
また、この那須の地に数多く存在する耕作放棄地を利用し、雑穀や大豆など、本来日本人の食に必要不可欠な農作物の栽培を開始しております。近年叫ばれる食料自給率の問題、食の安全、そして、日本人の原点に立ち返った食のあり方に思いをはせ、古来より日本人に必須の栄養素の多くを含むこれら農作物を、 100%国産で無農薬といった栽培方法で。
さらには、その実は私たち人間がいただき、残った茎葉は牛を育む飼料となる。自然に無駄はない。ゴミとは私たち人間が勝手に作った定義である。本来自然はきちんと循環し、人と人、人と自然はその関係性においていつもつながっている。そんな社会を実現していきたいと考えております。
栃木県の最北部、福島県との県境に接するこの町は、東京から約180km。新幹線で約90分、車でも約90分の位置にある人口2万6000人ほどの町です。延喜式の時代から温泉場として知られ、現在でも那須七湯と呼ばれるほどに多種多様の温泉が湧出する場所としても知られています。奥州街道における関東の終点としても歴史を刻み、頼朝・義経、松尾芭蕉などに関連する史跡も多く点在。戦後には多くの入植者のみなさんによって酪農が盛んになり、高度成長期にはリゾート開発によっても発展いたしました。しかし近年、それらの産業の多くが転換点を迎えているのも事実。昔から変わらぬ雄大な那須連山を望む豊かな大自然こそが最大の資源と考え、原点を見据えた新しさを構築していきたいと考えます。